山の幸

 

 母も這ひアイコを採りしこぞの春

この連休を一年前から楽しみにしていまして、
楽しいことは、アッという間に終ってしまい、
横浜に帰ってきた昨日は一日、呆けておりました。
近所のひかりちゃん、りなちゃんたちと
ふるさと秋田を訪ね、
山菜を採り、アブラハヤを釣り、ニワトリと遊び、
山の空気を吸い、清水で喉をうるおすなど、
山の幸を堪能する忘れられない数日となりました。
とくにこの時期の山や田は、
朝靄のなかで光り輝いています。
「魂」という字は、精神論的につかわれると
あまり好きではありませんが、
ふるさとの自然には、
心と言っても足りなくて、
「魂」としか言えない、
なにか心を震わすものがあるような気がします。
わたしの実家から数十メートル離れたところの
Sさんが今年亡くなり、
そこの家にはだれも人がいなくなりましたが、
ほかで奥さんや子どもたちと暮らしている息子さんが、
だれもいなくなった家をちょくちょく訪ねてきては、
畑仕事にいそしんでいるということを、
母から聞きました。
息子さんの気持ちが分かるような気がします。
帰るたびに言葉以上のものを教えてくれるふるさとに、
感謝せずにはいられません。

 蛇つまみぐるんと回す父の春

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