帙函

 

 冬晴れのきみはブラジルぼくはモカ

和紙を和綴じにして作った和本などを保護するために包む覆いのことを、
帙(ちつ)と言ったり帙函(ちつばこ)と言ったりします。
厚紙を芯(しん)にし、丈夫な布や紙を貼りつけて作ります。
箱の状態からツメを外すと、
紙で作った糊付けされていないサイコロが
パタパタパタと広がるように四方に展きます。
なので「箱」よりも「函」のほうが感じがでます。
今はあまり見られなくなりましたが、
このたび縁あって帙函入りの本を作ることになりました。
先日、印刷会社の人が見本を持ってきてくれました。
わたしは自分の席にいたのですが、
編集担当の武家屋敷、その帙函を見た瞬間、
ニコッと微笑みました。
わたしまで嬉しくなりました。
武家屋敷は、武家屋敷だけに和のこころを持ち、
和装本、帙函が好きなのだなと納得した次第。
本を作ることはますます
贅沢なあそびになっていくような気がします。

 それぞれの生死冬日のいのちかな

200911211302000