夢で放つ

 

 股引の膝くたびれる師走かな

こんな夢を見ました。
今住んでいるマンションから出て左へ歩くと、
広いゆったりしたS字の上り坂になります。
木々は秋の気配を漂わせています。
深く息を吸い、吐きながら、ゆっくり上っていきます。
腹がぐるぐる鳴り出しました。
向こうから五十がらみの男性と二十代でしょうか、
一人の青年が歩いてきました。
すれ違って程なく、
ぐるぐるは、あるはっきりした様態をなし、
わたしはぐっと腹に力を入れ、思いっきりそれを放ちました。
すっきり感と同時に、おでんの玉子を割ったときのような
強烈な臭いが鼻を襲いました。
と、
それまで気が付かなかったのですが、
不意に、S字カーブを曲がって今度は親子でしょうか、
女性が二人近づいてきました。
しまったーーー!!
でも、もはやどうすることもできません。
わたしは何食わぬ顔で二人とすれ違い、
さらに坂道を上っていきます。
背後から声が聞こえてきました。
ママー。なんか臭くない?
そうか。親子であったのか。
あら、やだ。ほんとね。下水の臭いかしら?
あら、やだって、あんた…。下水じゃねーし。みたいな。
親子と思しき女性二人が臭いの元を、
先を歩いていく二人の男のどちらかと勘違いする可能性も、
無きにしも非ずか、なんてことを思いながら、
わたしは頂上を目指して歩いていくようなのです。

 畳の目に運を重ねて冬の雨

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