枯れ松

 

 芒原さようならを堪へてをり

自宅の壁に珪藻土を塗ろうと思い立ち、その準備として、
下がコンクリートの部分の壁紙を剥がしました。
十三年経っていますから、なかなかスーッとは剥がれてくれず、
まるで枯れ松の皮のようです。
仕方がないかと諦め、
ちりちりちりちりと剥がし作業をつづけていたのですが、
たまに割りとスーッと剥がれるときがあり、
なんだか得した気分で、うれしくなります。
剥がすとき、壁面に直角に近く引っ張るのと、
剥がす壁紙を折り返し、
壁面を撫でるように引くのとでは微妙に違い、
引くスピードによっても違います。
ははー、この要領でやればいいんだなと早合点は禁物で、
また、ビリとすぐに千切れてしまったりの繰り返し。
とこうしているうちに、壁一面を剥がし終えます。

 壁紙を剥がす指先かじかみぬ

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