猫死

 思い出はしょっぱい味の鰯雲

昨日のことです。
いつもの階段を下りてゆくと、猫がくたりと倒れていました。
ギョッとして、一瞬、立ち止まりました。
死んでいるのか? でも、毛並みはいいし…。
どうして死んだんだろう。
猫いらずでも間違えて食ったか?
それとも、いたずらをし、猫踏んじゃったのメロディーを
ニャニャニャンニャンニャン、ニャニャニャンニャンニャンと唱えながら
ピアノの鍵盤の上を歩き廻っているうちに
指を隙間に挟んで骨を折ったかなんかして、
それが災いし餌を食べられなくなくなり、
それでとうとう逝っちまったのか? そうなのか?
と、
体の陰に隠れて見えなかった尻尾がアンテナのように、
ピンと立つではありませんか。
潜望鏡みたいでもあります。潜水艦の。
それから、へにゃりと倒れました。
ほ。
なんだよ。脅かすなよ。吃驚するじゃないか。
しばらくすると、例の尻尾が
またアンテナのようにピンと立ちます。
人が指を嘗めて風の具合を確かめるような、あんな感じです。
寝転がったままそんなことをしているのですから、
横着な猫かもしれません。

 けふの日のけふのいのちの鰯雲

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