うれしなみだ

 安眠を喰らひガシャガシャ百足虫かな
先週金曜日、会社帰りに
ケータイ電話で秋田の実家に電話した。母が出た。
こっちの用件を聞く前に、母は、
うれしい知らせがあると言った。
弊社十周年パーティーにご招待しお運びくださった
我がふるさと井川町の齋藤正寧町長が
町の広報誌「いかわ」に記事を
書いてくださったとのことだった。
母は、そのことを父のいちばん下の妹から聞いた。
名前を敏子という。
敏子叔母は、家に配られた「いかわ」七月号に、
春風社十周年パーティーの模様を詳しく
感動的に書いてくださっている町長の文章を読み、
うれしくて、すぐにわたしの実家に電話をした。
電話には母が出た。
うれしい知らせを一刻も早く兄夫婦に知らせたいとの
気持ちからだったのだろう。
その時点で、わたしの実家に「いかわ」は
まだ届いていなかった。
電話に出た母に報告しようとしたのだが、
人一倍涙もろい叔母は、一言も告げられず、
電話口でおいおい泣いたというのだ。
慌てたのは、わたしの母だ。
「なした? なした? なにがあったが?」と、
かなしい知らせかと勘違いし、
叔母を問いただした。
嗚咽しながら切れ切れに話す叔母の言葉を耳にし、
ようやく事の次第が飲み込めた母は、
急いで父を呼び、電話を替わった。
うれしい知らせを自分だけでなく、
父にも直接聞かせたかったのだろう。
実家にも昨日「いかわ」が届き、
さっそく父から電話があった。
父は、ゆっくり大きな声で一言一言刻むように読んでいく。
父の朗読を聞きながら、
齋藤町長のありがたい真心がずんと胸に染みてきた。
噛んでふくめるように読んでいた父が、
最後のほうになって、声を震わした。
それでも父は、歯噛みして読みきった。
齋藤町長の「町長日記抄」は、
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 みずたたき腹の虫まで叩きけり

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