タバコのけむり

 アイコ採り山に這いつく母を見つ
愛煙家の皆さんには申し訳ありませんが、
わたしはタバコが嫌いです。
40歳までは吸っていましたから、
本当は偉そうなことは言えません。
でも、今はタバコの煙が鼻につくとでもいうのか、
なるべく近寄らないようにしています。
そうしていても、向うから近寄ってくる場合は、
いたし方ありません。
どうするかというと、息を止めます。
昨日のことです。
昼食を終え、坂道を上っていたら、
向うから、くわえタバコの兄さんが下りてきました。
とっさにわたしは息を止めました。
平地とは違い、上り坂で息を止めるのは
容易ではありません。
それでなくても息が上がっていますから。
ぎりぎりまで我慢して我慢して、
最後のひと踏ん張りまで我慢し、
顔を赤黒くしながら(たぶん)プファーッ!!
と息を吐きました。
ところが、ちょとだけ、
タバコのけむりの臭いがします。
変だなあと思って歩いていたのですが、
はたと気付きました。
そうだ。鼻毛にけむりがまとわりついていたのだ。
そうにちげーねー。
大発見でもしたような気分に浸りながら、
意気揚々と社に戻りました。
 大股で春山漕ぐや喜寿の父

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