採点

 底意地の春を金壺眼かな
 このごろ持ち込まれる原稿で、小説もかなりな数ある。受けるにしても断るにしても、仕事柄ちゃんと縦横斜めに(?)読む。
 学術的な論考なら、そんなわけにもいかないが、こと小説の場合、頭でいろいろ考えるよりも、からだで、からだがどう反応するかを最大の価値基準にしている。
 というと少し、いやかなり大げさだが、要するに、読んでいて眠くなるかならないか。眠くならなければ、相当のもの。眠くなったらペケ。
 この季節、ほんとにうららかで、昼の食事をした後などは、なんだかとっても眠くなる。一行の中に、たとえば「白い襟足が…」なんてあると、眠い頭が勝手に作動し、襟、襟、えり、えり、エリ、エリ、エリカ、沢尻、沢尻エリカは40代の男性と結婚したあと、スペインに留学するとかでまったく結構、結構、結構毛だらけ猫灰だらけ、ケツの周りは糞だらけ、粋な姐ちゃん立ちしょんべんとくらあ…、なんてことが、ぐるぐるぐるぐる頭の中を回転し始める。そうなると、気の毒なのは、そのとき読まれていた小説原稿で、この季節でなければ、ひょっとしたら眠くならずに読み通せたかもしれない。
 そんなわけで、春はどうしても小説への採点が辛くなる。
 中華鍋中華オタマや春うらら

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