梅の木

 春愁と憎しみ我れに同居せり
 JR赤羽駅を降りたところに「梅の木」という喫茶店がありました。足が遠のき、現在もあるかどうかわかりません。
 昭和の名編集者・木村徳三さんから貴重なお話をうかがったのも、そこでした。
「きちんきちんとお給料をもらっている人が、いい小説を書けるものでしょうか?」インタビューするのはわたしのはずなのに、反対に質問され、わかりませんと答えるしかありませんでした。
 馴染みのスナックの姐さんと待ち合わせをし、夜の顔とのあまりの違いに驚いたことも。
 梅の木からの連想ですが、店のことでなく、本当の梅の木の話。
 この欄に道々撮った写真を掲載するようになってから、あ、と思う場面に出くわすと徐に携帯電話を取り出しシャッターを切るようになりました。
 このごろ梅の花が咲き、楽しませてくれます。よしと、構えるのですが、背景にビルが迫っていたりして、どうも美しくありません。構えだけで止めることしばしばです。
 春風や窪目底意地鳴らしけり

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