朧月にくむこころの冴へてをり
宮沢賢治の童話に『猫の事務所』という変った童話があります。
ねちねちぐじゅぐじゅ、陰湿なイジメが行われているのですが、最後に獅子がでてきて、こんなことならやめてしまえー!! かいさーん!!と怒鳴るのですね。半分は獅子の気持ちに賛成です、となっていて、作者である賢治の気持ちも窺えますが、あとの半分の気持ちはどうなんでしょう。
なんてことを思い出した下の写真です。
なんか話し合っているんですかねー。ともかく、ほんとうに猫の多い土地です。
近所に住む小学生の女子は、猫の道、なんて呼んでいますが…。
強東風や来たれ憎悪の果てるまで
亀鳴くや鳴けば捕られてがめ煮かな
京マチ子が主演している市川崑監督の『鍵』が良かったので、同じ監督の京マチ子主演『穴』を借りてきたのですが、コミカルな演技がわざとらしく、こちらは×。20分ほど見てやめてしまいました。こんなこともあります。
春一番スターアニスの角煮かな
バレンタイン昔の数を競ひけり
百歳で死んだ祖父の名前が友を治めると書いて友治でしたから、友チョコというと、祖父が作ったチョコみたいですが、そうではなくて。
バレンタインデーといえば、女性から好きな男性に告白できる日みたいなことだったと思うのですが、この頃は、ふるいしきたりに縛られることなく、手作りチョコを交換しあう日として、小学生などは楽しんでいるようです。
わたしも近所の女子から友チョコをいただきました。
手作りの可愛いチョコで、「チョコおいしいといいな」とメモ書きが添えられていましたが、すぐに食べてはいけないような気持ちです。
色男チョコ千個をゲットせり
きさらぎのヴィーナスよりも京マチ子
やっぱり旨いなあ。太宗庵の肉うどん大盛り餅入り! わたし、これ大好き!
マスターから紹介されたシャンティー・デリ(Shanthi Deli)のカレーが滅法美味しく、昼食のローテーションの組み換えが起きてしまったが、紹介者の曜日を外すわけにはいかない。
昨日は木曜日。挨拶が寺、いや、挨拶がてら太宗庵に出向き、マスターと女将さんに、おかげさまで、本場の美味しいカレーをいただきましたと申し上げた。マスター、そうだろう、そうだろう、そうこなくっちゃと厨房から出てきて話し始めようとする勢い。女将さんに、ほらほら、出てこないでいいから、ちゃんと作ってくださいよ、と注意されていた。ほかのお客さんもいたから、当然といえば当然。なんか、葛飾柴又の「とらや」を髣髴とさせる人情味あふれるお店で、いつ行っても明るく美味しいお店。腹もこころも元気をもらえる。桜木町へ起こしの方、絶対お勧めですよ!
チョコ鍋に逆さに落ちし恋泥棒
ひかりなを誘ひ春日の散歩かな
休日は、「寅」さんを見るのがこの頃のたのしみ。
きのうは寅さん、競馬で百万円をあて、名古屋から葛飾柴又までタクシーで帰ってきた。
どの馬に賭けたかといえば、ワゴンタイガー! ワゴンは車、タイガーは寅、車寅次郎、さしずめおいらのことじゃねーか。というわけで、ワゴンタイガーの目をじっと見、「おい、たのんだぞ!」と願をかけたら、それが効いたか、ワゴンタイガー一着でゴールした。
札束をたんまり札入れに入れ、柴又に凱旋し、世話になってるおいちゃんおばちゃんにハワイ旅行をプレゼントするのだが、寅さんの弟分のノボルが勤めている旅行会社の社長が、寅さんの百万円を持ってとんずらしちゃったから、さあ大変、とまぁ、こんな話です。
涙あり、笑いあり、人情あり。見上げたもんだよ、屋根屋のふんどし、粋なねーちゃん、立ちしょんべんとくらぁ。
道草や季語を無視してアイスかな
春の日の特製海鮮お好み焼き
会社がある日の昼食は、月曜日から金曜日にかけ、ちゃんこ→KIKUYAのスリランカカレー→ラクレットのハンバーグ→太宗庵の肉うどん大盛り餅入り→福家のドジョウ鍋と、だいたい決まっていて、曜日ごとの昼の楽しみなわけですが、先日、太宗庵のマスターから、本格インド風カレーの店シャンティ・デリ(Shanthi Deli)を紹介していただき、会社から歩いても10分ほどの距離なので、さっそく訪ねていきました。
武家屋敷と二人、ネットで検索した地図を頼りに足早に歩いているうちに、ぷーんとカレーの香ばしい匂いがしてきて、近い近いと言いながらきょろきょろ辺りを見回すと、ありましたありました。民家がならぶ中にあってあまり目立ちませんが、流行っているお店独特のオーラがただよっています。
小ぎれいなドアを開け、中へ。色の黒いイケメンインド人が達者な日本語で話しかけてきます。わたしは卵カレー、武家屋敷はミックスベジタブルカレー。
カレーはもちろん、ナンの旨さは格別! 太宗庵のマスターの言うとおりでした。ナンとご飯のお替わり自由! お替りする人が大勢いました。
さてと。今日はどうしようかな。
ブランコや香り朧にかすめけり
春特製お好み焼きの厚さかな
散歩がたのしい季節になりました。
歩きながら、ふと立ち止まって目を閉じると、いくつもの匂いが感じられます。馥郁たる梅の香やまだ蕾の沈丁花も空気に淡い色をつけはじめています。花々だけではありません。木も草も水も春に酔い、春を喜んでいるようです。
池波正太郎の『鬼平犯科帳』のなかに、平蔵の手のものが夜歩いているとき、土の匂いに春を感じる場面があります。
匂いの小説なら、パトリック・ジュースキントの『香水』。面白いですよー。映画になりましたが、そちらはまだ見ていません。
春なればソースたっぷりお好み焼き