年明けの下版迫りし昼寝かな
大学を出てから三十まで勤めた高校にH先生という、英語の先生がいた。背が高くハンサムで、英国紳士というのはH先生のような雰囲気の人を言うのかな、と思った。激して声を荒げることなく、静かに、論理的に、それでいて生徒のことを思いやる‘格好いい’先生だった。
一度、H先生の手帳を見せてもらったことがある。見せてもらったというより、H先生が手帳に記入しているのを目にした、というのが正確なところ。
H先生の書く文字は、活字よりも活字らしいと評判だったが、その活字的文字で手帳は埋め尽くされていた。聞けば、H先生は一日一センチと決め罫線を自分で引いて記入しているとのことだった。
H先生は、そのことを卒業生の前で話されたこともあった。
一日一センチ。一年で365cm。十年で3650cm。五十年で18250cm、たったの182メートル50センチに過ぎない…。
もう一月も半ば。H先生、どうしておられるだろう。
バカ総理乞食の冬となりにけり