念賀状!?

 鈴の音や枯葉舞台の土佐源氏
 年賀状書きは一仕事で、賀状を送らないことにしている人の記事をネットで見ると、羨ましい気持ち半分、負け惜しみを含め改めて年賀状の意義を再確認すること半分で、よーしと気合いを入れ、葉書に向かう。
 この人に書くぞ、と決めたら、その人を思い浮かべ、その人に対しての一年の感謝の思いと来る年の幸をこころに念じ、うんうんと唸り、短い一言を搾り出す………って、これじゃあ、まるで念賀状だ。搾ったことばを葉書に刻んだら、おもむろに裏返して宛名を書く、という具合。重い。重すぎる!
 かるくかるく、さらっと行こうと方針を変え、昨年から、賀状を出そうと思う人の宛名を先に一気に書くことにした。武家屋敷がそうしていたのを真似たのだ。それを束ねて持ち歩いているうちに、そうだ、あの人にはこのことばを送ろうと、不意にひらめくことがある。搾ることばではないことば。
 宛名を先に書く。ただこれだけのことなのに、賀状を書くことに対するこころ構えというか、ハードルの高さが随分ちがう。
 木枯らしや菰舞い上がる土佐源氏

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