ホタテの串焼き

 まぐわいの背なの枯葉の土佐源氏
 こんな夢を見た。
 仲間数人で旅行をしているらしかった。小柄で可愛いAさんと背の高い痩せぎすのBさんもいた。小早川先生もいる。小早川先生は、以前勤めていた学校の同僚で、体育の教師だった。誰もこばやかわせんせーと呼んでいたが、本当は、こはやがわなのだった。
 旅の途中の休憩時間のようだった。若いAさんとBさんが連れ立って出かけ、程なく魚介の串焼きを持って帰ってきた。皆で木のテーブルを囲み、まだ湯気の立っている串焼きを頬ばった。一個ずつではなんだか物足りなかった…。
 わたしは、「ちょっと買ってくる」と言って席を立った。AさんとBさんが戻ってくるまでの時間からみて、すぐ近くにそれと分かる店があるのだろうと思ったのに、なかなかそれらしい店が見つからない。時計を見ながら歩を速めた。だんだん背中が汗ばんできて、ケータイで訊こうと思ったら、ケータイを持たずに来てしまったことに気づいた……、と思ったら、小銭入れの中にケータイが入っていて、ほっとした。Aさんに掛けようと思ったが、ちょっと考えて、ためらわれ、武家屋敷に電話した。今の会社の同僚も何人か参加していた。
 武家屋敷に確認したら、ここを出発するのは八時だという。念のためわたしは、夜の八時か、と訊いた。夜の八時だという。安心し、それでもわたしは歩を緩めなかった…。
 賑やかな声が聞こえてきて、どうやら運動会の最中なのだった。運動着姿の男子に、運動会かと尋ねると、スポーツ大会ですと答えた。運動会とスポーツ大会ではどこが違うのかと訝ったけれど、それ以上は尋ねなかった。ただ、少年の性格の一端が分かったような気がした。
 柵を超え小走りに坂道へ向かうと、ちょうどリレーのランナーがやってきたので、わたしも走った。勝てそうな気がした。が、一緒に走ってみると、彼は見た目以上に脚が速く、とても勝ち目がないことはすぐに分かったから、わたしは、走るのをやめた。また元の道路脇に戻り、歩いて坂を上った。見たことのある風景だと思ったら、青葉山なのだった。学生時代をここで過ごし、三ヶ月前、Aさんを連れてここに来ていたことを思い出した。
 枯藁のコ嘗めし御方や土佐源氏

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