横浜にぎわい座

 休日を何事もなく鰯雲
 すぐ近くにありながら行ったことがありませんでした。横浜にぎわい座。
 いいですねー。広すぎず、狭すぎず。常連のお客さんが多いせいか、始まる前から、場内あたたかい雰囲気に包まれていました。
 三遊亭楽太郎と林家木久扇(木久蔵の名前を息子に譲り、公募のなかから選び木久扇としたのだそうです)の落語は、さすがと思いました。
 「笑点」のイメージしかなく、二人のちゃんとした落語を聞くのは(それもナマで)初めてでしたから、新鮮で楽しい時を過ごしました。
 楽太郎が扇子を上手に使い、階段をトントントントントンと駆け上る音と仕草はほれぼれしましたね。隣りに座っていたオバさんが、「上手いもんだねー」と呟いていました。木久扇の田中角栄と大平正芳二人の総理の真似は至芸というしかありませんでしたね。笑わされました。
 木久扇のとき、携帯電話で話しているバカがいて、木久扇師匠、どうするかとドキドキしながら見ていたら、噺を止め、ニコニコしながら、「冷蔵庫にちゃんと入れておかないといけませんよ」とそのヤクザまがいの男に声をかけました。場内からドッと笑い。バカ男が電話で話すくだらない内容を漏れ聞いての「冷蔵庫〜」だったのでしょう。それでも男は止めません。
 師匠、ニコニコ顔をそのままに、電話が終わるのをじっと待ち、「終わりましたか。よござんすか。えーーー。どこまで話しましたっけね」(ここでまた場内からドッと笑い)と、何事もなかったかのように、噺を続けました。この辺のやり取りも、ほかの客が不愉快にならないように実に見事な対応だと感心しました。
 携帯電話のバカ男は、これも何事もなかったかのように、最後まで木久扇の落語を聞き、拍手を送り帰っていきました。

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