条件反射

 十五夜の池のほとりの気功かな
 桜木町駅で電車を降り、改札を抜けて左へ出ると、みなとみらい方面ですが、すぐ左手にベックスコーヒーショップがあります。
 広い窓ガラス越しにカウンター席がずらりと並び、お客さんが外を向いてコーヒーを飲んだり、サンドイッチを頬張ったりしています。歩きながら、つい顔がそっちに向き、目と目が合うことも。
 昨日のことです。和服を着た初老のご婦人が、窓越しに、わたしに向かってニッと笑いかけてきました。後から考えれば、そんなはずはないのですが、パブロフの犬になったわたしは、条件反射して、ニッと、笑いに応じました。見ると、笑いと見えたのは笑いではなく、ご婦人が手鏡に向かって口を「え」のごとくにひらき、お化粧直しの緊張状態を顔につくっているのでした。
 笑顔でかえしたわたしは、ばつが悪くなり、そそくさと通りすぎました。

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