天才少女

 ポーンとポン 音でお話できるんだ!!
 近所のりなちゃんとサクラヤさんで会いました。りなちゃんは天才です。どう天才か、それを話すと長くなりますので、しませんが、天才であることはまちがいありません。
 りなちゃんは、トコトコ歩いてきました。そばに木の切り株をイスにしたものがあって、りなちゃんが腰掛けるのにちょうどよい高さだったので、どうぞ、と勧めました。りなちゃんは、木の切り株のイスにチョコンと腰掛けました。
「りなちゃん、ジャズがすきなんだって」
「うん。すきなCDに、りなマークがついているの。りながこれすきっていうと、ママがしるしつけてくれるの」
「ふーん」
「おおきくなったら、いろいろなりたいものがあるんだけど、ジャズピアニストがいちばんなりたい」
「へー。そうなの。ジャズって、アメリカのこくじんがはじめたおんがくなんだよ」
「でも、がっきはどこのくにでもおなじでしょ。ポン、ポン、ポン」
「そうだね。それでひろがったのかな。ポン、ポン、ポン。いまは、せかいじゅうのひとがジャズをやるし、きくよ。でも、くにがちがうと、おなじジャズでもすこしちがってくるよ」
「うん。ポンポンポン」
「おいちゃんはピアノができないけど、できるとして、おいちゃんとりなちゃんは、にほんじんだけど、ふたりがおなじきょくをひいても、それはまたべつのおんがくになるんだ」
「うん。ポンポンポン」
「そうそう。おとでおはなしもできるんだよ。ポンポンポン」
「ポンポンポン」
「ポンポンポーン!」
「ポンポンポーン!」
「ポンポーンポン!」
「ポンポーンポン!」
「ポポポポポポン!」
「ポポポポポポン!」
「おもしろいでしょ」
「うん。ポン!」
 と、ひとしきり。時のたつのを忘れてしまうほどでした。ポンポンポン。
 りなちゃんは、今月小学一年生になったばかり。

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