大川周明の幻の原稿、発刊!

小社にとってうれしいニュースがありますので、ここでお知らせします。
この度、大川周明の未発表・未公刊の手書き原稿があらたに発見され、小社から『頭山満と近代日本』として発刊されました。
頭山満(とうやま みつる、1855-1944)は、アジア主義の立場でナショナリズム運動を推しすすめた国家主義者で、その政治的活動から政財界に太いパイプをもち、実業家、篤志家としても名を馳せた人物です。
大川周明(おおかわ しゅうめい、1886-1957)は、戦前の代表的な思想家の一人。敗戦後、A級戦犯として起訴されましたが、病を理由に不起訴扱いになりました。
本原稿は、大川の日記にその記述がみられるものの、その行方は杳として知れず、研究者のあいだでは「幻の原稿」とされてきたものです。
今回、一昨年第5回大仏次郎論壇賞を受賞した新進気鋭の中島岳志・北海道大学准教授がある方から原稿を託され、小社から刊行の運びとなりました。
「グローバル化」「ナショナリズム」などの言葉を目にする機会が多くなりましたが、やはり歴史に学ぶことはいつの時代にも必要不可欠と思います。戦後日本が長らく封印してきた右翼思想の精髄を語る第一級の史料です。発刊にあたり、今日の朝日新聞(文化面)、毎日新聞(社会面)で大きく取り上げられています。また、朝日新聞社の論壇誌『論座』(12月1日発売)には「新発見! 大川周明・幻の原稿」の題で中島氏の論考が掲載されます。
小社はおかげさまでこの10月より9期目に入り、来年は10周年を迎えます。今回、このような名誉ある発刊が可能になりましたのは、ひとえに著者の方々、業者の方々、スタッフ、そして読者の日頃のお力添えの賜物と感謝します。
今日の朝日新聞、毎日新聞紙面をご覧いただければ幸いです。
今後とも倍旧のご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。


『頭山満と近代日本』
大川周明(著)
中島岳志(編・解説)
四六判・上製・208頁
定価2,310円
革新右翼の理論家が、伝統右翼の巨人を描く。明治維新、西南戦争、大隈重信襲撃事件など、近代日本を形作った重要な局面に、頭山はどう動いたか。敗戦直前の緊迫する状況で書かれた「幻の原稿」ついに発見!
【編者】中島岳志(なかじま・たけし)
1975年生。北海道大学公共政策大学院准教授。
南アジア地域研究、日本政治思想史。
『中村屋のボース』によりアジア太平洋賞大賞、大仏次郎論壇賞受賞。
・著書
『ヒンドゥー・ナショナリズム―印パ緊張の背景 』(中公新書ラクレ、2002)
『中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義』(白水社、2005)
『ナショナリズムと宗教―現代インドのヒンドゥー・ナショナリズム運動』(春風社、2005)
『パール判事―東京裁判批判と絶対平和主義』(白水社、2007)ほか。