秋の田

 落ちたらばそこより春と思ひ切れ
 故郷秋田はもう真っ白だそうだ。
 秋田は秋の田と書く。子供の頃、小高い丘の上から収穫前の稲田を眺めるのが好きだった。黄金色というけれど、実った稲穂はほんとうに黄金色に光る。風が吹いてくれば、さわさわさわとそよいで、やがて大きなうねりとなり、風が吹きぬけて行ったことがそれと分かる。そよぐ稲穂は黄金色から白く光りを放ち、ほどなく安心の黄色に落ち着く。白く光ったのは、産毛のような繊毛が生えている葉裏が翻って、あんなふうに見えたのだろうか。
 射抜かれて我慢とプツンの案山子かな
 批判され案山子への字に口を閉づ

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