切なさは習い性なり冬の夢
フリーライターのAさんから聞いた話。
自律神経免疫療法で著名な安保徹先生(新潟大学大学院教授で『免疫革命』ほか著書多数)曰く、免疫の落ちている人というのは一目で分かる。いくらばりばり働いていると言っても、そういう人というのは猫背で背中ががちがちの状態になっている。だらりゆらりとからだを揺らすことが大事で、安保先生は、その極意を、目覚めのゴリラを見てハッと気づかれたそうだ。
天才的に物の本質を見ぬける人というのは共通したところへ行きつく。
『背骨ゆらゆら健康法』の重要性を思わぬところで再確認した次第。
冬ごもり切なさだけを抱きにけり
批判の雪解かす術なし東北人
在庫表にらみとほほの落花生
きのうは練功300日について。今日の300は何かというと、わが社の柱『新井奥邃著作集』の売れ部数です。
全10巻ありますが、ようやく300セットを超えました。巻によっては残り180冊というものもあります。
8年で300セット。1年平均37.5セット。この数字が多いのか少ないのかは分かりません。今も途切れずに売れていますから、いずれ完売する日が来るでしょう。
奥邃先生を敬愛していた永島忠重が先生の死後、『奥邃廣録』をみずから編集・発行した折、それが思うように売れず(だけが原因ではないようですが)、一家離散の憂き目を見ることにもなりました。この度は、同じ轍を踏まずによかったなと。
残り200セット、しぶとく飽きずに売っていきたいと思います。
血税や凍土に転ぶ痛みあり
冬ごもり夢で別離の味を知る
秋の腹八分の目盛りを過ぎにけり
練功(気功の練習のことをこう呼びます。気功を始めるまで知りませんでした。新しい言葉を知るのも楽しいことです)300日もいよいよ間近となりました。かくなる上は、せっかくですから修験者のごとく、練功千日を目指し日夜背骨を揺らしたいと思います。
効果について細かく書き出せば切りがないのですが、一つ自分でも意識し、いいなあと思うのは姿勢について。
気功は大きく静功と動功に分類されますが、デスクワークのときに静功の要領で背筋をピンと伸ばし、天頂が紐で吊るされているように意識しながら仙骨を少し前に押し出します。首、肩、胸、内臓は重力に任せるイメージで力を抜き息を深くします。ふっと気持ちが整う感じです。
最初は1時間、半日もてばいいほうだったのが、このごろは1日この姿勢を保ったまま仕事をするようになりました。我慢しているわけではなく、そのほうが楽(朱剛先生の、座れば座るほど楽になりますねぇ〜の言葉が浮かびます)だし、1日の仕事を終えたとき、何とも言えない充実感がからだに充ちてきます。
身体的には、日々の練功により、おそらく腰周りを中心とした筋肉のバランスがとれてきたことで楽にからだが支えられるようになったからかなと思われます。ありがたいことです。
猿と馬脳内走る暮れ早し
短日や数字が踊る決算期
祖父母ゐて夢のつづきを見てゐたり
日ごとに寒さが増し、朝、布団を離れるのがつらくなりました。眼が覚め、まず時計を見ます。すると布団を離れるまで30分ほど、まだ間があったりします。こういうときは、まさに至福の時ですね。
目覚め前に見ていた夢がたのしかった場合は、なごりを惜しむかのように、とろとろと続きを見ていたり。ハッとして時計を見遣ると、5分と過ぎていなくて驚くことも。かと思うと、不覚にも瞬時に深い眠りに落ち、起きなければいけない時刻を数分やり過ごすことも…。
エスカレーター鼻先三寸尻寒し
マフラーを巻いてかじかむ一人かな
ブルブルと釣り上げしごとケータイ音
気功教室の帰り、Tさんから聞いた話。
Tさんは料理教室の先生をしている。詳しいことは分からないけれど、二泊三日の集中コースがあるらしく、いつも準備が大変とのこと。生徒の年齢層にもよるだろうが、生徒たちに教える料理とは別に、合宿中みんなで食べる料理の算段をしなければならない。量の計算が難しく、作っているうちに、足りるだろうか、不足したらどうしよう、と頭を悩ませてきた。ところが今回、なんだか分からないけれど、足りなければ果物もあるし、なんとかなるか、ふとそう思えた。彼女としては、ダイエットだけでなく、これも気功のおかげ、ということであるようだ。
友のかほ後から後から雁渡し
月白く人語も霞む菊名かな
エスカレーター上り下りの爽気かな
雑誌の取材で江戸川橋の日本禅密気功研究所へ。朱剛先生を交え編集部の方と打ち合わせ。
生徒の中に内科、外科、精神科の医者がいることを先生からうかがう。西洋医学に精通する専門医も認め、みずからの健康のために「背骨ゆらゆら」を生活の一部に加えているようだ。
打ち合わせ終了後、しばし歓談。来たる木曜日に朱剛先生、来社の予定。
冬来る花の魚を食ひにけり
初鍋の蓋に眼が行く上の空