さかなクン

 さかなクンという変なタレントがいる。頭にハコフグのぬいぐるみをかぶり、独特の甲高い声でしゃべる。番組の司会者などから質問やコメントをされると、キャッ、キャッ、と、釣り上げられた魚がぴちぴち跳ねるような仕草をする。小さい頃から魚が好きだったとかで、魚に関する造詣は並々ならぬものがある。大学の准教授も務めているそうだ。
 ところでさかなクン、横浜の中田市長に似ている。兄弟、というより双子ほどに。前もっての情報がなくて双子といわれたら、そうですか、となるだろう。
 数分、大発見のつもりで悦に入っていたのだが、疑問がもたげ、ネットで調べたところ、世間ではすでに二人が似ているということが通り相場となっていた。面会の場面で中田市長がさかなクンのハコフグのかぶり物を被ったこともあったらしい。大発見どころか、世間から遅れていただけだった。

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じょんがら一代

 多聞くんからの情報で、前からナマで一度見たいと思っていたギリヤーク尼ケ崎さんの大道芸を見る機会を得た。5月19日夜、東横線白楽駅下車六角橋商店街にて。
 月の第3土曜日はいつも催し物があるらしく、街は昭和の下町に戻ったようななつかしいにぎわいを見せていた。若い人たちのライブ演奏があったり、裏通りの店々から客を引く声がかかったり。歩くだけで楽しくなる。
 ギリヤークさんは今年77歳。9時ちかくになって、アスファルトとコンクリートの道端に車座に陣取った客たちのなかに、ようやくギリヤークさんが現れた。衆目にさらされながら、普段着を脱ぎ衣裳に着替えていく。その一つ一つの動作がすでにぴんと張り詰めた緊張感をはらみ、客の目とこころを静かにとらえていく。手鏡を見ながらドーランをぬる後姿を見ているうちに涙がこぼれた。写真家の橋本さんが吸いこまれるようにシャッターを切っている。じょんがらー、じょんがらー、じょんがらー、と声高に叫んだあと、いよいよ踊りが始まる。腰を落としてかまえた瞬間、ギリヤークさんの周りは一瞬にして津軽の冬景色に変貌した。わたしのすぐ後ろにいた若い男が、連れの若い女に向かって、シャーマンのようだねと言うと、女は、あれは何かしら、エアーギターのようなものかしら、などと答えていた。
 演目の二つ目は「おはら節」。客のなかから3人連れだし一緒に踊った。
 最後は「念仏じょんがら」。くるくるくると踊り舞う姿はこの世のものとも思えない。ひゅーと客のなかへおどりこんだと思ったら、反対の側からバケツを持って現れ、アタマから水を被った。ひれ伏し、転がり、あお向けになって、かあちゃーん、まだ踊っているよー、と叫んだ。にっぽんいちー!! の声がとぶ。踊りが終って素にもどる。お礼を言うギリヤークさんの目がきらきらと輝いている。
 余韻にひたる客たちがなかなかその場を離れない。20代だろうか、若い女性が何か質問した。「はい」と答えるギリヤークさんの声と表情に息を呑む。小学校に入ったばかりの一年生が、はじめて担任の先生から名前を呼ばれて、よろこび驚いてでもいるような風情なのだ。来年きっとまたここで踊ります、とギリヤークさん。からだに気をつけてー。来年も来てくださいねー。万雷の拍手と歓声が交錯し、時のたつのを忘れた。

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馬糞?

 昼食を済ませて社に戻ったわたしにイトウが言った。
「よもやまに書いていたスカート、ば×ーんスカートっていうんですよ」
 咄嗟のことでピンと来ず、あ、よもやま、今日のよもやまね、ええ、ええ、スカートのこと書きました。バ×ーンスカート? あの形、ふっくらとしてほやほやな感じ、のようなことが瞬時にアタマをかけめぐり、わたしは、「なに? ばふんスカート?」
 いとう「ばふんじゃなくてバルーン。アドバルーンのバルーンです」と、呆れ顔。
 ああ。アドバルーンのバルーン。宙に浮くわけね。なるほど。的確なネーミング。でも、聞き間違いとはいえ、あの形状、馬糞ウニに似てないこともないような。だから、馬糞スカートってのは? だめか。

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復活のきざし?

 ブルマーのことだ。小社で『ブルマーはなぜ消えたのか』を出したことと関係あるのか、ないのか。とにかく、このごろよく街でブルマーを穿いた若い女性を見かける。体にピッタリの、いわゆるブルマーでなく、かつてのちょうちんブルマーみたいな形の。
 最初、変な形のスカートだな、と見ていたのだが、どうやら今年の流行のようだ。ちょうちんブルマーというか、巾着というか、でかいシュークリームを腰にまとっているというか。人形のようだし、あれなら、階段やエスカレーターで覗かれることもないだろうから、いいのかな。

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ヒゲのこと

 週に1、2度ヒゲを剃る。別に不精で剃らないわけではない。しかし、伸びてくるヒゲは不精ヒゲだ。
 電動式のシェーバーは日本製のものから外国製のものまでいろいろ試したけれど、これというものがない。また、いくら性能が良くても3枚刃のカミソリには敵わない。
 その3枚刃だが、ヒゲがある程度長くなってから剃るのと、短いうちに剃るのとでは剃り具合、肌の荒れ方が違う。ヒゲが伸びてからのほうが圧倒的に深剃りが利いて、肌荒れも少ない。理屈に合わないようでも、実際にそうなのだから仕方がない。
 そういうわけで、不精ヒゲと揶揄されても、貧相に見えようとも、肌が荒れて紅いブツブツができるのよりはマシだから、週に1、2度しかヒゲを剃らない。

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ブルー

 月曜日は、なんだかノらない。とくに午前中。土・日と二日休んで、さて今日から仕事と気負っても、からだが言うことを聞かない。泥のなかから目だけ持ち上げ顔を出す両生類なのか魚類なのか判然としないひょうきんなあの動物みたいな気になる。ドデン。ドサッ。
 昼食を終え1時間ぐらい経つとだんだん調子が戻ってくる。声も心なしか弾んでくるのが自分で分かる。泥のなかからようやく這い出たか、そういう気分になるのが2時半ごろ。

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気功の効果

 気功では百日練功ということが言われるそうで、土台づくりにまず百日継続してやりなさい、ということらしい。
 気功教室に通い始めたのが2月1日だから百日が過ぎたことになる。この間、朝晩2回40分ほど、習ったとおりに続けてきた。目を閉じ、ゆっくりした動作で行うのだが、今では気の光を感じることも珍しくない。GW期間中は秋田で行った。父は物珍しそうに見て、いろんな動きがあるものだねーと言った。
 ところで、百日練功の効果や如何にということだが、ときどき感じていた耳鳴りを忘れた。朝目が覚めると左手が痺れていることがあったが、これも無くなった。帰省した折、挨拶に行った叔父の第一声が、元気になったね、だった。楽しみながら続けていきたいと思っている。

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