中国禅密気功の朱剛先生の外気功を初めて受けたとき、わたしに向かい手をかざしたあと、先生の第一声が「ムチ打ちをやりましたか?」だった。その言葉がずっと引っ掛かっていた。気の滞りがムチ打ちのそれと共通していたのだろうか。
 一昨年の四月に鎖骨を骨折して以来、気も心もいっしょに折れたみたいになり、医者にかかり、クスリを飲み、鍼灸、マッサージ、整体とあれこれ試し、あわせて関連書も集中的に読んできた。また、西式体操をはじめ、乾布摩擦、爪揉みマッサージなど、体にいいとされることはいろいろやってもみた。このごろは中国禅密気功ということになっているわけだが、何がどう作用したのか、何と何の相乗効果かは分からないけれど、調子が日に日に良くなっている。周りからもそう言われる。ありがたいことだ。ところが、からだ全体が向上しているのに、刺さったトゲみたいにどうも不調の根みたいなものがまだ残っている感じがする。それで、ふと、朱剛先生に指摘された「ムチ打ちをやりましたか?」を思い出したのだ。
 ムチ打ちをネットで調べてみた。出てくるは出てくるは。自律神経失調の症状が、わたしがこれまで体験してきたことと実によく似ている。驚いた。そうか、と思った。
 鎖骨を折ったとき、その衝撃はおそらく、というか、当然、首をも襲ったことだろう。レントゲン写真には現われなくても、アンバランスな状態が痛みの信号をともない今に残っている。朱剛先生は、微妙な気の流れでもって、そのことを鋭く感じ取ったのだろう。

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