不審者?

 先月体験学習に来た女子中学生がその成果を発表するというので招かれ、昨日多聞君と二人で出かけた。
 横浜女学院は山手の山の上にある。分かれ道で多聞君が「こっちへ行ってみましょう」と言った方向が正しく、門の前に着いたのが約束の十分前。「じゃ。ちょっとここで待ってて」と言い置き、わたしはドアを開け門の横にある守衛室に向かった。「春風社と申します」「はい。どういうご用件で?」と、係の守衛さん、完全にこちらを疑っている様子。これこれこういうわけで参りましたと説明すると、急に表情が明るくなり、「ただいま門を開けますから、真っ直ぐ進んでください。左側が駐車場です」。あまりの変わりように驚いた。が、自分の姿形を振りかえり、守衛さんの応対は至極当然と思われた。目深に被った帽子、メガネ、マスク、マフラー、ダウンジャケット、ジーパン。これでは、みずから怪しい者ですと名乗りをあげているようなもの。こんなご時世だし、守衛さんは勇気を出して忠実に自分の務めを果たしただけなのだろう。
 久しぶりの学校。教室の後ろで我が子の発表を聞くお母さんたちに交じり緊張、謹聴。まみちゃんもゆりちゃんも、作った本など示し、体験したことを正確に伝え、お母さんたちからほーという声が洩れた。これがきっかけで、ふたり本当に出版社で働くようになったりして。がんばれ、まみちゃん、ゆりちゃん!