動く千手観音

 テレビで千手観音を観た。千手観音といえば、千の慈悲の眼と千の慈悲の手をそなえ、生あるものを救うという有難い仏様だが、テレビで観たのは、千手観音という名の舞踊。
 「中国障害者芸術団」は北京に拠点を置く団体で、「千手観音」は、生まれつき耳の聞こえない障害を持つ男女21人による舞踊。一糸乱れぬという喩えがあるが、その比喩がこれほど合致する表現を見たことがない。耳が聞こえないので、音に合わせるということができない。太鼓が空気を震わす振動を体で感じ取り、まっすぐ縦に並んだときの呼吸を次つぎ首に感じて自分の動きをコントロールし他のメンバーの動きに合わせるのだという。日頃の鍛錬と集中力の深さに圧倒される。動く千手観音を見た。観た。ほんと、びっくり。