カッワーリ初体験

 カッワーリはパキスタンの宗教音楽。CDでヌスラット・ファテ・アリ・ハーンを聴いたり、ビデオで観たりはしていたが、舞台での演奏をナマで観るのは初めて。多聞君のお母さんからいただいたチケットを持ち渋谷Bunkamuraへ。今回の演奏は、ファイズ・アリー・ファイズを主唱者とする楽団。ファイズは1962年、パキスタンのパンジャーブ州生まれで、7代続くカッワールの家柄で音楽の基礎を学びながらも、流派の違うヌスラットにあこがれ、エッセンスを吸収すべく研究したという。
 二階席で観たのだが、まず、その音圧というか声量に圧倒される。アッラーの神を称える詞の意味はわからないけれど、なにか祭にでも参加しているような感動が体を走る。ファイズにヌスラットの魂が宿ったかのよう。いのちがほとばしる。4曲ぶっ通しで演奏(1曲の演奏時間が長い!)し、演奏者が立ち上がった(カッワーリは、座って演奏する)とき、ファイズはエネルギーを使い果たしたかのようにフラフラとくず折れ、隣りの人間に腕を支えられて退場。スタンディング・オベーションの嵐。ナマの音楽の素晴らしさを堪能した夜だった。