そんなには磨けない

 近所の歯医者に行った。治療もするが、大事なのは日々のブラッシングで、それをないがしろにすると、治療してもイタチごっこになるから、ブラッシングの目標を80パーセントに設定するという。やった方はわかってくれると思うが、歯磨きが80パーセントできているというのは相当の数字だ。仕方がないので、今日こそはという勢いで、朝、1時間ほど間を置いて2度に分けて歯を磨き、指示通りに歯間ブラシもつかい、これで文句ないだろうぐらいに準備万端ととのえ、ピカピカ状態で歯医者に向った。それなのに、あの甘ったるいピンクの変なゲル状の液体を歯にまぶされて検査したら70パーセントしか磨けていないという。そんなはずないだろう。よく見てくれよ! 指示通り歯間ブラシもつかって時間かけて磨いたんだからさ。「そう、おっしゃられても、磨けてないものは磨けていませんから。ほら、この通り」鏡まで見せてくれる始末。どれ。ん。なるほど。そうか。俺の負けか。確かにピンクの色が残っている。でもさあ、80パーセントってのはちょっと無理じゃないの。毎日そんなに丁寧に細かいところまで磨いていたら、それだけで1日が終わっちまうよ。とは言わなかった、言えなかったが、まったく嫌になる。「道具が増えて恐縮ですが、歯間ブラシのほかに、こういうブラシもありますから、これをつかってみてはいかがでしょうか」だって。だったら最初に言ってくれよ。あ〜あ。