旅行記

 連日のように出版の問い合わせがある中で、最近目立つのが旅行記を本にしたいというもの。それもなぜか海外旅行に関するものがほとんど。というか全部。文化の違い、習慣の違いにもろにぶつかるから印象深くこころに刻まれるのだろう。
 昔から旅行記、紀行文のたぐいは1ジャンルをなすぐらいだ。現代では、全く旅行をしたことがない(海外はともかく)人というのはひとりもいないだろうから、理屈としては、人の数だけ旅行記ができることになる。
 個人的な趣味を言わせてもらえば、天気ばかりの旅行記(それじゃ本にならないか)とまでは言わないけれど、一日の記録を割りと淡々と記したもののほうが好きだ。そのほうが読んでいて想像力を膨らませ、まだ見ぬ国で自由に遊べる。旅行記を出したい方は、そういう読者サービスも頭の片隅において執筆して欲しい。体験したことを全部書くよりも、抑え気味のほうがかえって親切な旅行案内になっていることもある。