こころの燃料

 本を読んでいたら、燃料としての記憶という言葉がでてきて、たしかに生きていくのには食料だけでなく、こころの燃料もいるな、と思った。
 こころの燃料の一番は、何といっても恋愛だろうか。天にも昇る気持ちとも称されるから、ロケット燃料ほどのパワーが秘められているのだろう。若いときにはまた未来予想図という燃料もある。そんなタイトルの歌もあった。将来の夢。夢。
 ところが年齢と共に恋愛の頻度は少なくなり、未来予想図もなんとなく湿っぽくしぼんでくる。記憶が後半生を生きていくための燃料というのも、あながち的外れな比喩ではないだろう。家族、友人、音楽鑑賞や読書。ひとりボーと空を眺めたり。恋愛ほど激しくない、自然にやさしい燃料がエコライフにはふさわしい。