みかんの木

 ベランダに鉢植えの蜜柑の木がある。自宅で会社を始めた年に買ったものだから、7年ほど経過したことになる。堆肥もやらず土も変えず水遣りするだけだから、栄養不足なのだろう、実を結ぶことはなくなった。それでも若葉の季節ともなれば、蜜柑の香りのする黄緑の葉をつけ目と鼻を楽しませてくれる。そうすると、どこからやってくるのか、決まってアゲハ蝶の幼虫が何匹も付いていて、一心不乱に若葉をむしって食べている。最初は、「なんてことするんだコノヤロウ!」と一匹ずつ取っては緑の藪の中に放っていたのだが、実をならせることが目的ではなし、十分若葉を楽しんでいるわけだから、あとはアゲハの幼虫の餌にしてあげてもいいかという気になってきた。今ではお礼参りのつもりなのか、蝶になったアゲハがベランダの付近をひらひらと飛んでいるのを目にすることがある。だから、これでいいのだ。さて、今日も暑うなるぞ。