くりん

 先日、カメラマンの橋本さんがTさんという若い女性を伴って来社。前からの知り合いかと思いきや、そうではなく、現像所で働く知人の紹介で、その日に初めて会い、そのまま一緒に来たとのこと。
 Tさんは広島の方で、休みを利用し1週間ほど東京に出てきたという。絵を描き、俳句や短歌をものし、立体の作品も創るそうで、それらの作品をいずれ本にしたいと言った。橋本さんはいつもの橋本節で持論を力説、表現者たるもの、10年に1冊は自費で本を作るべきなのだ。本当につくりたいもの、生まれたがっているものを表現者は生み出す義務がある、云々。くりんとした目を大きく見開き、Tさんうなずいた。
 ところでTさんのその日の髪型、身につけている服、アクセサリーはアメリカ・インディアンの娘を彷彿とさせたので、その印象を告げたらTさん興味を示した。『アメリカ・インディアン悲史』の話をすると、すぐに買って読みたいと言う。別れた後で彼女がつくるホームページを見たら、あの日の帰りさっそく買ったと書いてある。標準語で話していてもちょこっと語尾に出る広島弁がとても可愛く、そのことがさらに彼女のルーツがインディアンであるとの認識をわけもなく倍化させた。