港町

 午前中、今度ウチから『モアイに恋して』を上梓するつきようこさん来社。午後、『野麦峠に立つ経済学』(小社刊)の著者・島岡光一さんが次著『デザインする経済』の打ち合わせのため来社。今年埼玉大学を定年で退官されたが、インド・ケララ州にある美術館に招聘され、かの地の仕事が多くなりそうとのこと。インドといえば多聞君ということで、急遽多聞君も呼び出し、話に加わってもらう。
 写真家の橋本照嵩さん来社。はなれ瞽女(ごぜ)の写真を始め、次の企画のための写真百数十点を持ってきてくれた。ダンボール二箱をすでに預かっているから、選ぶのが大変だ。
 橋本さんはよく春風社は港町だから…、ということを口にする(『新宿港町』という歌があるが、橋本さん、その歌がめっぽう上手い!)。何らかの縁で人が集まり、出逢い、別れていく。そのことを喩えてのことだろう。
 いつだって出逢いはこころおどり、別れは寂しい。こうすればよかった、あの時ああすれば避けられたのにの後悔や反省も成り立つけれど、うがった言い方をすれば、さらにいろいろ目に見える要素、目に見えない要素が加わり、出逢いも別れも人知を超えている。だから手をこまねいて見ているというわけではなく、今日の出逢いと別れを真摯にとらえ、言葉にできることは言葉にしようと思うのだ。港町らしく、風の向きによって汽笛がハッキリと聞こえることだってある。