定期総会

 マンションの定期総会がきのう行なわれた。一番の議題は大規模修繕について。
 当マンションの管理会社が事前に数社に見積りを頼み、ニ社にしぼって(理事会での議論を経た上で)総会にかけた。二社とも修繕に必要な総額は一千万円を超えている。一般的には建ててから十年乃至十五年のあいだに大規模修繕をするところが多いから仕方がないのかなという意見あり、また、修繕積み立て金が二社の提示している額に満たないのにどうする、銀行からカネを借りてまでするのか等、侃侃諤諤。管理会社の話では、そうしているところもあるとか。
 議論が難しくなりそうかと思っていた矢先、住人の一人が、一昨日、知り合いの一級建築士に頼んで二社の見積りと照らし合わせながら建物全体を見てもらったそうだ。その結果、マンションの資産価値を上げるという目的なら別だが、今すぐにやらなければならない工事というのは限られているという意見だったらしい。わたしはその意見を聞きながらハッとした。
 マンションの修繕については昨年の総会から議題に上り、管理会社が数社に見積りを頼んだ。住人もまずそれが順当だと思ったし、管理会社も「はい、わかりました」と当然のごとくであった。管理会社は昨年の総会の意見に基づき数社から見積りを取って理事会を召集。理事会のメンバー(わたしも今年はその一人)は出された見積りを見比べて、これは高いだの、こっちが安いだのと言い合った。理事会といっても、要するにシロウトなのだ。ここに盲点があった。つまり、マンションの修繕をする業者に見積りを頼んだ場合、老朽化の診断も合わせてやってもらうことになる。これぐらい老朽化が進んでいるからこれぐらいの工事、金額としてはこうなります、ということになる。仕事を取りたい業者は、ビジネスとして当然、利益が出るための見積りを出してくる。勘ぐれば、必要のないところまで修繕項目に掲げ金額を計上してくるかもしれない。だから、業者に見積りを頼む前に第三者機関に老朽化の診断をしてもらう必要があったのだ。そんな機関があるのか。ある。建物診断士。国家資格としてちゃんと認定され、それを業とする人がいる。
 管理会社に確認したところ、取り扱っているマンションで、これまで事前に建物診断士を入れて診断してもらった例はないという。結局、総会の結論としては、前例がなくても、適切な建物診断士に依頼し客観的に見て判断してもらい、その資料を踏まえ改めて業者に見積りをお願いするということになった。