営業努力

 売上200万部を突破した本がある。すらすら読めておもしろく、はぁ、こういうのがベストセラーになるのかと思った。200万部。みんな買って読んだんだろうなあ。倉庫何個分のスペースを取るんだろう、なんて。そんな感想しか浮かばない。ハリー・ポッターの例もあるから、ウチからベストセラーが出ないとも限らないが、そんなことはあり得ないと思っていたほうがまず間違いない。本は売れません。横から聞こえてくる話はそのことばかり。どの版元も苦戦を強いられている。いい本を作ることが中長期的には営業の武器になるということもあるけれど、支払いが中長期というわけにはいかないから、編集のクオリティーを上げることで問題が解決するわけではない。いい本だと評価されても、それが骨董的価値を帯びてくるようでは困る。