新井先生のこととなれば

 『新井奥邃著作集』の監修者・工藤先生に会いに守谷まで。たがおと秋葉原で待ち合わせ、つくばエキスプレスに初めて乗った。駅には、先生と先生のお嬢さんが迎えに来てくださり、クルマの運転は筑波大学に通うお嬢さんの息子さん。
 『著作集』完結間近となり、労をねぎらうとすれば、われわれが先生に対してとなるべきはずのところ、逆になってしまい、山形の山菜やら納豆もち、さらに先生みずから作ったラーメンまでご馳走になった。食後、最終別巻のゲラについて直しの箇所を打ち合わせ、今週末には下版することにした。
 いつものことながら、新井先生のこととなれば話が盛り上がり、いろんなエピソードが工藤先生の口から飛び出す。ぼくもときどきは割って入って感想を言う。新井奥邃について話したり聞いたりすると、なぜだかすがすがしい気分になる。アメリカに二十八年もいた人なのに、文章から感じるすがすがしさの背景に日本の風土、景色が浮かんでくるのはなぜだろう。