ヨコハマメリー

 愛ちゃんがトップページで紹介していたヨコハマメリー。ぼくもかつて伊勢佐木町界隈で一度ならず見たことがある(ような気がする、記憶違いでなければ)。愛ちゃんが貸してくれたパンフレットを読んでいくうちに、この映画、横浜生まれ横浜育ちの人でなければ撮れなかった映画だと思えてきた。その点、写真集『九十九里浜』『北上川』と共通するものがある。
 昨日の昼、泥鰌を食べに(この頃よく泥鰌を食べる)野毛にある福家さんを訪ね、食後、女将さんにヨコハマメリーのことを訊いてみた。もちろん知っていて、一度はとあるビルのエレベーターに乗り、27階で降りたとき、廊下に足を踏み出した瞬間、目の前に真っ白い化粧、白ずくめのヨコハマメリーが椅子に座っていたことがあったそうで、それを見た女将さん、よほど驚かれたらしい。
 パンフレットによれば、ヨコハマメリーは自分について語ることを潔しとしなかったとか。晩年、大桟橋に座って海(その向こうのアメリカ)を見ていたという。
 愛ちゃんがぼくに見せようとパンフレットを取りに自分の席に小走りに向かったとき、蹴上げた足がほんの少し外側へ跳ねる姿がスローモーションで目に焼き付き、確たる理由はないけれど、愛ちゃんもヨコハマが似合う人だなと思った。