昼寝

 あと10分、あと10分、…と呪文のようにまどろみ、二時間が過ぎたろうか、何度も起き上がる夢を見たあとで、たがが外れるようにしてようやく目が覚めた。居間の灯りが点滅するようになり、そろそろ寿命かと思って脚立に上り外のカバーを外したら、コンセントの近くが黒くなっているので、やっぱり交換するしかないのだった。直径が40センチと30センチの対のもので、黒くなっているのは大きい輪っかの方だったが、またしばらくして今度は小さい方のが、となるのも面倒だから、一緒に外して紙袋に入れ、外へ出た。もう夕刻で、丘に張り付いた家々に灯りがともっている。左に目をやれば、JR保土ヶ谷駅に出入りする電車がいつものように走っていて、まるでオモチャみたい。ズレた感覚はしばらく続き、甘酸っぱいような重い寂しさは懐かしいようでもあった。