B級にあこがれて

 サブカルチャーとでもいうのか、いわゆるB級本、B級CDというものが世にある。決してメジャーではなく、それでいて、他人の評価を気にせず一所懸命、生きることの切なさと喜びとどうしようもなさを表現しているような。そして、どこか、いかがわしい。表現において上手いかヘタかといえば、だいたいヘタ。
 以前この欄で紹介した『男宇宙』というCDがあるが、あれは相当なもので、横浜モアーズ六階のタワーレコードで試聴したとき、ジャイアント馬場が歌う「満州里小唄」を聴いて、思わず声を出して笑ってしまった。だって、モゴモゴして何を言っているのか全然わからないんだもの。
 さて、わたしが今回見つけたCDは、池玲子の『恍惚の世界』。池玲子はB級どころか、知る人ぞ知る七十年代を代表するポルノ女優であり、いわゆる団塊の世代のマドンナだったはず。わたしはそれよりちょっと時代がズレるので、銀幕上の彼女の姿を見たことがない。耳学問、サブカル雑誌で知っているだけ。ポルノ女優としてはA級でも、そのCDとなると、どうもあやしい。いかがわしい。LP盤レコードがかつて出ていたそうだが、プレミアがつき高価格で売買されていたところ、今回のCD発売になったようだ。
 タワレコのホームページで検索、これは相当あやしいと見て実物を見に行ったら、棚のそこだけ十五センチぐらいゴソッと空いており、売り切れ。ははあ、と思ったね。池玲子ファンが買っていったに違いない。一週間ぐらい置いてまた行ってみた。今度はゴソッと入荷していた。試聴するまでもなくB級オーラがぷんぷんだったから迷わずに購入。家に帰りさっそく聴いた。あはん、うふん、うーん、と喘ぎ声が全曲に挿入されており、それが半端じゃない。隣りに聞こえそうで、こりゃまずいと思い、急いでボリュームを下げた。どんなCDかというと、こんなの