お天道さま

 晴れましたねぇ。気持ちいいなあ。朝起きて、カーテンを開けるとき、開ける前から、カーテンを通る光の具合で、今日が晴れか曇りか雨かは分かる。期待を込め、サッと開けたとき、晴れていれば、なんと気持ちいいのだろう。今朝なんて、春がもうそこまで来ているような感じさえする。フッ、と、人にもすこし優しくなれそうな気もしてくるさ。
 先日、久しぶりにいちばん歳の近い叔母さんと電話で話した。近いといっても、八歳離れている。子供の頃なら、はるか大人に見えたおばさんが、だんだん自分と歳が近づくように感じるから不思議だ。お互いの近況報告。叔母さんは、最近花壇づくりに凝っていて、雪が溶け、春の花が咲く様子を話してくれた。花にはそんなに興味がなかったのに、あることがきっかけで、兄妹中いちばん花が好き、みたいになっているとか。思えば、亡くなった祖母が花が好きな人だった。家の回りを小さな花々でいつも飾っていた。「リヱばあさんの血だね」「そうかな」。
 雪の下の土中では、種や球根が今や遅しと春を待ちわびている。おてんとさまのおてんとは、天の道と書くんだった。