出版依頼

 年が明け、今日が一月最終日。ジャネーの法則(このまえテレビを見ていたら『トリビアの泉』でやっていた)により、月日がとても短く感じられる。それだから余計にかも分からないが、このところ、出版依頼が立て続けにある(気がする)。うれしいことだ。ユニークな企画もあり、ウチらしくどんな提案ができるか、頭を悩ますのも仕事のうち。
 きのうも、横浜在住の方から事前に電話連絡があり、午後、来社された。堅い仕事をしながら、これまで何冊か本を出しておられる方で、そのなかの増刷までした上・中・下三冊本が絶版になったらしく、相談にみえられた。
 増刷といえば、写真集『北上川』が好評により三刷目に入った。ある意味では地味でマニアックな写真集が『朝日新聞』を始め、すでに十紙を超える新聞に取り上げられ、どれもそれぞれに写真集の特長をよく捉えていてくださり、写真家ともども学ばせられることが多い。
 たとえば、『北上川』の書評をいずれかの新聞で見て、あるインプレッションを抱き、こういう内容の原稿を用意しているのだが検討してもらえないだろうか、と問い合わせをしてくる方があるとする。その方にとっては、春風社=写真集『北上川』を出した出版社、ということになっているのだろう。このスピードを大事にしたい。
 ライブドア問題で、「価値」と「価格」の違いについて強調された論客がいたが、まったくその通りだと思う。
 激しく変動する「価格」は、やがて、その物が持つ「価値」に近づく。では、物の価値は何で決まるか。いろいろ意見が分かれるところだろうけれど、物にこめられた才能、ひらめき、日々の努力、費やされた労働、チームワークの質、願い、驚き、快、幸福感、などなど。「価格」はそれを時々刻々評価するだろうが、もともと評価の難しいものばかり。というか、評価できないもの、と言っていい。目に見えない価値を高めようとする努力、チームワークこそが大事なのだろう。出版依頼の増加傾向は、そのことの証しと素直に喜んでいいと思う。