瞬間冷凍マジック

 このごろ流行りのマジックスパイスのカレーをインターネットで注文し食してみた。店で食べるのとほぼ同じという触れ込みどおり確かに美味い。が、当然のことながら「ほぼ同じ」であって「全く同じ」ではない。旨みについてどうこう言うつもりはない。さすが瞬間冷凍のなせる技と驚きもした。が、なんだろう。なにかが違う。どこがどうと指摘するのは難しい。全体的な問題で、要するに「キレ」。
 スープカレーのキモは、スプーンに薄く掬い上げたひとくち目のスープを口中に含んだときのスパークする辛さにあるとわたしは思っている。その瞬間が決め手なのだ。あとから美味さがぐいぐい押し寄せてくるとしても、立ち会いにおけるキレと美しさがなければスープカレーとしては一段劣る。スタートダッシュで出遅れた馬が後からいくら追い上げても、結局鼻差で負けるようなもの。
 噂によれば、マジックスパイス下北沢店では平日の夕方でもずらり人が並ぶそうだから、それを考えたらネット注文も偶にはありと思うが、瞬間のキレを楽しむためには、やはり直接足を運ぶしかないかと諦めた。