ウォーキング

 朝、会社まで歩く途中でハトの群れに出くわした。最上段の電線にズラリと並んでいる。ざっと数えて七十羽はいたろう。一箇所にこんなに集まるのは珍しいと思ってしばらく見ていると、道路沿いの町工場からおじさんが出てきて、トウモロコシのほぐしたのを道端にまいた。ははぁ、これをハトたちは待っていたのか。ところがハトたち、すぐには降りて来ない。餌をあげたおじさんとはまた別の半ズボン姿のおじさんがわたしに近寄って来て「どうされましたか」と訊くから、「ずいぶんハトがいるなぁと思いまして…。降りて来ませんね」と答えた。「警戒してるんでしょう」
 おじさんに挨拶をし、ハトを横目で見ながら通り過ぎ、少し離れたところから見ることに。数分は「おらたち、餌なんか見てないよ〜」みたいな感じだったのが、1羽が最上段からすぐ下の電線に降り、さらに下の電線に降りると、引きずられるように数羽が後から続いた。最初の1羽がついに電線を離れ木の葉が舞うように地面に降りるや、あとは、なだれを打ったように次から次と地面に舞い降り、餌をついばんでいる。いったん食い始めたら、今度はすぐ傍を自転車が駆け抜けようが通行人が通ろうがお構いなし。こんな光景を見られるのも歩いて入れ歯こそ。いや、いればこそ。あはは…。しばらくウォーキングに凝りそうだ。