はるかネパール

 家に帰ってテレビをつけたら、「貧乏を競う」みたいな番組をやっていて、へ〜、いろんな人がいるもんやなぁとおもしろく見ていたら、ネパール人の「貧乏さん」(名前はババ)が登場し、彼は日本人の女性と結婚、子供を三人もうけたが、なんでもネパールに内縁の妻が居て、以前は日本人の妻もろともに暮らしていたという。その彼、いま失業中とかで「貧乏」を強いられているらしく、このごろは故郷ネパールに帰っていない。日本で生まれた子供たちをネパールの家族にも見せたいだろうとの配慮から、番組が応援し、ネパール人の顔に最も似ている(?)ネプチューンの名倉潤が付き添い役でネパール入り。
 故郷に帰ったババさん、日に焼けた顔に涙を浮かべ眼をキラキラさせていた。ひょうひょうとした名倉さんは前から好きなタレントだが、気張らず現地の人に溶け込む姿が見ていてすがすがしい。ババさんがぜひ見せたいものがあるといって名倉を案内した小高い丘から望むヒマラヤの山並みを見ていたら、わたしもかつて望んだ連山を思い出した。
 夜、テレビのない宿の広間に近所のひとびとや子供たちが集まり、歌ったり踊ったり太鼓を叩いたりしてもてなしてくれた。わたしも何か歌で返さなければと思い立ち、さて何がいいかと考えあぐね、結局「津軽海峡冬景色」を歌った。太鼓の人が合わせづらそうにしていたっけ。それでも歌い終わったら拍手喝采で、わたしの顔は喜びでぐしゃぐしゃだったろう。十六、七年も前の話。
 ネパールの首都はカトマンズ。日本語では「マ」にアクセントを置いて発音するが、本当はカトマンドゥー、「ドゥー」にアクセントがあるんだよね。