ときどき整理法

 大学の先生が提唱する「超」がつく整理法も試してみたが、いつのまにかやらなくなった。なんでだか分からない。結局これも身の丈に合うものでなければ長続きしないということだろう。
 会社の仕事机の上に重ねた書類がうずたかくなり、危うく崩れそうになったから、左手が使えないので右手で持てるだけの束を持ちひっくり返し、さらにつぎの束をひっくり返して前のに重ね、ちょうどクワで掘り返した土を畦に積み上げるようにする。この時点では机上の書類が裏返ってただ移動しただけ。問題はこれから。
 一番上の書類(さっきまで一番下のもの)から順番にていねいに見ていくのだ。途中で頓挫した企画があったり、なんのために出力したのか意味不明な記事もある。手紙もある。半年前、一年前にもらった手紙が紛れ込んでいることもある。きっと、新しい企画へのヒントになるかもしれない、とでも考えたのだろう。それすら思い出せない。機械のメンテナンス契約の書類もある。これを入れるファイルを作るのが大げさな気がしてヒョイと目の前の書類に重ねたか。
 というわけで、いろいろなものが次から次へと出てくる。さてそれから。もはや残しておいても役に立たないと即断したものは破って捨てる。が、?役に立つ、あるいは?役に立つかもしれない、はたまた?役に立たないとは必ずしも言いきれない、と三ランクのいずれかに属する場合は元の位置に重ねていく。これがわたしのときどき整理法。一年に一度か半年に一度。
 あまりパッとしない方法だがわたしには合っている。ほんのときたま、いかにも感情的になって書いたと知れる、なんだか訳の分からぬ人生訓・処世術みたいなものがメモ用紙の切れ端に走り書きしてあり、恥ずかしくなって、人知れずレシートを破くよりもさらに細かくちぎってゴミ箱へ捨てる…。
 これ、ずぼらな整理法ながら、眼を白黒させたり顔を赤く染めたりしながら、でもけっこう楽しめる。次は年末かな。