好物

 母は、外国人の背が高いのはチョコレートを食べているからだと信じ、そのため、わたしも弟も子供の頃からチョコレートを食べて育った。その甲斐あって、ふたりとも身長が180センチを越える大男になった、と、もしそうなれば、母の自信は確信へと変わったろうが、実際はそうならなかった。わたしも弟も普通より小さいほうだ。それでも母はチョコレートと身長の相関関係への信仰を今も捨ててはいないだろう。
 身長には影響しなかったが、母のおかげでチョコレートは大の好物になった。弟はどうだろうか。ふたり同じものをもらい、わたしが先に食べ、弟が隠しておきそうなところへ行くと決まって大事に残していたから、弟もそれなりに好きだったのだろう。
 それはともかく、ずーっとチョコレートが好きで、前の勤め先では昼の休憩時間に傍のパチンコ屋へ行き小金をせしめればチョコレートと交換するほど好きだったのに、このごろはそんなに食べなくなった。代わりにアイスクリームを食べるようになった。ハーゲンダッツ、ちょいと値が張るけれど美味いね、アレは。「爽」もがんばっている。布団の上にあぐらをかき、好きなテレビを見ながらアイスクリームを食う、これ最高。ただ、こぼさないように注意しなければならない。