竹内さん踊る

 演出家の竹内敏晴さん、来宅。前回いらっしゃった時、バド・パウエルの「テンパス・フュージット」を聴いて涙を浮かべ、わたしもナイトウも、どぎもを抜かれたことはすでにここに書いた。
 まずからだが生きている竹内さんに、ぜひ聴いてほしい人がいた。それは、ヌスラット・ファテ・アリ・カーン。惜しくも1997年に亡くなっているが、パキスタンにおけるカッワーリーの国民的歌手として世界に名を馳せた。今でもファンは多い。
 『究極のパリ・コンサート(1)』の4曲目「マンカバト」をかける。曲が終わるや、竹内さん、おもしろいね、おもしろいね、念仏踊りもかつてはこうだったんじゃないのかね、底抜けに明るいじゃないか、こうだもんな、と仰り、両腕を振りまわし躍りはじめた。映像でなく音だけ聴いているのに、竹内さんの躍りはカッワーリーを歌うものたちのそれ、特にヌスラットの上半身の動きそのものだった。からだの精密な感じ分けに、いつも驚かされる。
 シーフードカレーをお代わりしてくださったのはうれしかった。