手帳を閉じる

 愛用している手帳(高橋書店 No.78)を、自分では割と使っているほうだと思う。一番使うのは住所録かな。あと、絶対忘れてはならない約束や、記録しなければ忘れてしまいそうな言葉は意識して書き込むようにしている。手帳ってそれぐらいでいいのではないかとこのごろ思う。
 アイディアを含め何でもかんでも記録しておくのがカッコいいと思った時期もあったが、書いた時点で固定されるような気がして嫌になった。面倒臭くもあるし。頭に浮かぶもろもろは電光石火だし、善悪美醜の判断もままならず、スピードだって自分の頭なのに、おれ、何を考えているんだろうと思うぐらいのものなのだ。下心だってある。そういう火の玉の彗星状アイディアをそのままに遊ぶほうがたのしい。手帳を閉じてあれとこれがぶつかる様を眼を開けてジャッジすることは、どこでもできる遊びだ。