元気の素

 三月に入って少しは温かくなるかと思いきや、昨日の寒さには参ったよ。
 仕事帰り、小料理千成に寄って、いつもなら昆布焼酎をオン・ザ・ロックで飲むところ、とてもじゃないが氷など見る気にもなれず、お湯割りにした。「え! 珍しいじゃん!」じゃんて言われようが、寒いんだから仕方がない。料理もあったかいものを頼み、二、三杯飲んでいるうちに体もようやくあったまる。
 「このあいだの『義経』、常盤が一瞬いい顔したなあと思ったら、そのことをホームページに書いてあるんだもの」とママ。
 「ん!? ママ、読んでくれたの。ありがたいね。どうもどうも。あの一瞬の表情ね。よかったよなあ。見とれたもん」
 「母の顔だったね」
 「母の顔…。そうか」
 「おれも今度からインターネット見れるようになったから」とかっちゃん。
 「どしたの?」
 「娘が新しいパソコンを買ってさ、古いのをもらったんだよ。電源入れてから見れるまで五、六分かかるんだよなあ」
 かっちゃ〜〜〜ん、ママ〜〜〜、見てるううう?
 帰宅後、知人からありがたい電話が掛かってきた。子供たちがまだ小さく、やんちゃな盛り。下の男の子が電話を替わりたがり電話口に出て、「おじちゃん、いくつ?」「47」「★$♂知ってる?」「知らない」「ポケモン知ってる?」「知ってるよ」「◎◆△¥知ってる?」「知らない」「♀〓※≦知ってる?」「知らない」「おじちゃん、なんにも知らないんだね」なんてことで、トホホ…。暗くて長い坂道をとぼとぼ帰ってきたのだが、炸裂する質問にパワーをもらい、すっかり元気になった。