3枚刃vs.4枚刃

 秋田生まれで餅肌のわたし(アハハハハ…)は、髭を剃ることにかけて、かなりのこだわりがある。
 シェーバーは、日本製のものから外国のものまでいろいろ試した結果、やはりブラウンが良かった。最近テレビのコマーシャルをとんと見なくなったが、街角でサラリーマンを捕まえてはジーッとやってもらって、トントン、はい、剃れましたねえ、というアレだ。
 が、ブラウンも含めシェーバー全般がわたしの肌に合わぬらしく、最近はもっぱらGilletteの3枚刃の剃刀を使っている。もう何年も。
 ところが、またまた最近、とは言っても去年だと思うが、他社から4枚刃の剃刀が出た。単純なわたしは、3枚刃よりは4枚刃だろうと単純に考え、さっそく買って試してみた。ら、ことはそれほど単純ではなかった。
 というのは、あくまでもわたしの個人的体験によればということだが、3枚刃にくらべ4枚刃のほうが、どうしても刃が並んでいる場所の面積が広くなる。3枚刃が5ミリあるとすれば、4枚刃はそれよりもちょっと広い。そのちょっとが実際問題おおきな違いとなって現れる。
 鼻の下でも顎のところでも割にフラットな箇所は、さすが4枚刃のほうが威力を発揮する。ところが、顔というのはご存知のようにフラットではない。デコボコしている。鼻と鼻の下の境界のところを剃る時において4枚刃は難渋する。ちょうど区画整理されていない不定形の田んぼに最新式のコンバインを入れるようなものだ。牛刀を以て鶏を割くたぐいかも知れぬ。
 数が多けりゃいいという、そんな単純なことではどうもない。

元気の素

 三月に入って少しは温かくなるかと思いきや、昨日の寒さには参ったよ。
 仕事帰り、小料理千成に寄って、いつもなら昆布焼酎をオン・ザ・ロックで飲むところ、とてもじゃないが氷など見る気にもなれず、お湯割りにした。「え! 珍しいじゃん!」じゃんて言われようが、寒いんだから仕方がない。料理もあったかいものを頼み、二、三杯飲んでいるうちに体もようやくあったまる。
 「このあいだの『義経』、常盤が一瞬いい顔したなあと思ったら、そのことをホームページに書いてあるんだもの」とママ。
 「ん!? ママ、読んでくれたの。ありがたいね。どうもどうも。あの一瞬の表情ね。よかったよなあ。見とれたもん」
 「母の顔だったね」
 「母の顔…。そうか」
 「おれも今度からインターネット見れるようになったから」とかっちゃん。
 「どしたの?」
 「娘が新しいパソコンを買ってさ、古いのをもらったんだよ。電源入れてから見れるまで五、六分かかるんだよなあ」
 かっちゃ〜〜〜ん、ママ〜〜〜、見てるううう?
 帰宅後、知人からありがたい電話が掛かってきた。子供たちがまだ小さく、やんちゃな盛り。下の男の子が電話を替わりたがり電話口に出て、「おじちゃん、いくつ?」「47」「★$♂知ってる?」「知らない」「ポケモン知ってる?」「知ってるよ」「◎◆△¥知ってる?」「知らない」「♀〓※≦知ってる?」「知らない」「おじちゃん、なんにも知らないんだね」なんてことで、トホホ…。暗くて長い坂道をとぼとぼ帰ってきたのだが、炸裂する質問にパワーをもらい、すっかり元気になった。

ZZZ

 荷物がいっぱいで、本とかCDとか。そのときどきに気に入って買い溜めてきたものだけど、今となっては整理するにも整理がつかず、捨てるに捨てられず。本棚が溢れ、上や下の戸棚が溢れ、これを過剰というのかと思ったが、そんなことではなんの解決にもならず、ああ、とかって、気を紛らせ電話するも、だれにもつながらず腰砕けな、そんな夢。
 でも、眼が覚めたらシャキーン!