田中正造・新井奥邃

 熊本大学の小松裕さんから年賀状をいただき、そのなかに、岩波の『世界』2月号で新井について触れたと記されていたので、さっそく買って読む。「現在に生きる田中正造」がそのタイトル。
 田中正造が谷中村に入って100年目の昨2004年、岩波文庫版『田中正造文集』第1巻が出たが、小松さんはその編集者の一人。
 『世界』では、この期にあたり、70年代以降現在までの田中正造研究について概観し、その意義と今後の展望に触れている。最近の研究動向を説明するくだりで『新井奥邃著作集』について「晩年の田中正造と深い精神的交流を行ない、相互に認め合い、思想的影響を及ぼし合った新井奥邃の思想の全貌が、この著作集刊行によって明らかにされれば、田中正造研究にも大きな貢献をなすことは間違いない」と、最大級の誉め言葉で言及してくれている。有難し!
 また『著作集』のことだけでなく、田中正造研究を光源として見えてくる社会及び歴史像を鑑みる時、小社の営みが客観的に位置付けされたようで嬉しく、さっそくコピーをとり「必読!」と大書し全員に配った。やはり怒涛の年!