笑いのうず

 『瞽女』の写真家・橋本照嵩来社。テレビのドキュメンタリー番組出演で今年は何やら忙しい。
 マガジンハウスの編集者で『東大全共闘・68-70』(来月小社から発売)の著者平沢さん曰く、森山や中平に続き、橋本さんならフランスで受け入れられるだろう。なんで今まで気付かなかったのか、その筋に話してみるべき、云々。我が事のように有り難かった。橋本さんにそれを伝えたら、まんざらでもない様子。うひょひょひょひょひょ、と、どこぞの妖怪みたいに笑うから、
 「来年あたりは、NHKから出演依頼があるかもしれないよ、山根基世さんあたりがインタビューアーになって、そもそも写真家になろうと思ったきっかけは? とか、『瞽女』を出したときに写真家の木村伊兵衛が絶賛したという話も聞いていますが…、とか、子どもたちに写真の面白さを教える「めだか展」をずっと続けているそうですが、子どもたちの反応はいかがですか? とか、「ふるさと創成千円基金」での第一回受賞者は石巻在住の画家とお聞きしていますが、なんて質問されるぞきっと、どうする橋本さん」
 橋本さん、またまた、うひょひょひょひょひょ。われわれもつられて、うひょひょひょひょひょ。
 「しゃ、しゃ、しゃしんというものは、しゃぢちであって、しゃぢちでないのでありまして、しゃぢちというのは、ぢちをうつす、ぢちですか、かんじでかけば実、はあ、とうきょうのほうでは、じつ、と、よぶそうでしが、おらほのほうでは、ぢち。だから、しゃぢち。このしゃぢちというものはでしね、たけぢちとはじゃっかんちがっていましてでしね、え、たけぢちでしか、たけぢちはたけぢちでしよ、かんじでかけば竹筒、ええ、ええ、とうきょうのほうでは、そうもよぶらしいでしがね」
 橋本さん、もうすっかり山根さんにインタビューされた気になっている。楠のテーブルを囲んだ皆の前で、いつものように瞽女唄を披露してくれ、インドから戻った多聞君、ソニー生命の鎮西さんも交え大いに盛り上がる。ビール、ワイン、焼酎、お寿司、煮付け、ホタテ焼き等々、たらふく飲んで食って、九時にお開き。