アメリカ

 ふと気付けば、どうしようかな、と、唱えている。恋人と別れなければならなくなった時や結婚を決めた時もそんな風に呟いていた気がするが、今は特別人生の節目というわけでもなく、何か具体的な岐路に立たされているわけでもないのに、どうしようかな、なのだ。
 昨日、民俗学者の谷川健一さんに会って、企画の打ち合わせをしてきた。タイトルを聞いただけで吹き出さずにはいられない傑作企画で、ぜひやろうということになった。でも、とても真面目な内容。谷川さんからいただいた『青銅の神の足跡』を読んでいってよかった。写真家の渡辺良正さんとは初顔合わせ。谷川さんとは四十年来の付き合いとか。谷川さんも渡辺さんも、ぼくと同じトリ歳。その後、一緒にニコンサロンで開かれている西村文一写真展「北緯40度―地球連鎖の風景―」を見に行く。わがふるさと秋田県男鹿半島入道崎の写真もあり、ここが昔ミュージシャンの上田さんと裸踊りをしたところさ、と、同行の社の二人に説明する。
 会社に戻ったら、飯島耕一さんから新詩集『アメリカ』が届いていた。バド・パウエル、セロニアス・モンク、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンの名が見える。読んでからお礼のFAXをしようと思う。
 湿度の問題のようだ、ぼく自身の。いろいろ本を読んだり、外の世界に触れなおしたり、音楽を聴くには悪くない状態かもしれない。

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